(1990年9月7日第7期全国人民代表大会常務委員会第15回会議により採択。2001年10月27日第9期全国人民代表大会常務委員会第24回会議における「『中華人民共和国著作権法』改正に関する決定」に基づき修正、公布する)
目 次
第一章 総則(第1条~第8条)
第二章 著作権(第9条~第23条)
第1節 著作権者及びその権利(第9条~第10条)
第2節 著作権の帰属(第11条~第19条)
第3節 権利の保護期間(第20条~第21条)
第4節 権利の制限(第22条~第23条)
第三章 著作権の使用許諾及び譲渡契約(第24条~第28条)
第四章 出版、実演、録音録画、放送(第29条~第45条)
第1節 図書及び新聞、刊行物の出版(第29条~第35条)
第2節 実演(第36条~第38条)
第3節 録音録画(第39条~第41条)
第4節 放送局、テレビ局の放送(第42条~第45条)
第五章 法律責任及び執行措置(第46条~第55条)
第六章 附則(第56条~第60条)
第一章 総 則
第1条
文学、芸術及び科学的作品著作者の著作権並びに著作権に関連する権益を保護し、社会主義精神的文明と物質的文明の建設に有益な作品の創作と伝播を奨励し、更に社会主義文化と科学的事業の発展と繁栄を促進するため、憲法に基づき本法を制定する。
第2条
中国公民、法人又はその他組織の作品は、発表の要否を問わず、本法により著作権を享有する。
外国人、無国籍人の作品がその著作者の所属国若しくは恒常居住地国と中国との間に締結された協議により、又は共に加盟している国際条約により享有される著作権は、本法による保護を受ける。
外国人、無国籍人の作品は中国国内で初出版された場合、本法により著作権を享有する。
中国と協議が締結されず、又は共同で国際条約に加盟されていない国の著作者及び無国籍人の作品は、中国が加盟している国際条約の加盟国で初出版された場合、又は加盟国と非加盟国で同時に出版された場合、本法による保護を受ける。
第3条
本法にいう作品には、次に掲げる形式で創作される文学、美術及び自然科学、社会科学、産業技術等の作品が含まれる。
(一)文字作品
(二)口述作品
(三)音楽、演劇、演芸、舞踊、曲芸芸術作品
(四)美術と建築作品
(五)撮影作品
(六)映画作品及び映画製作に類似する方法により創作された作品
(七)工事設計図、製品設計図、地図、見取り図等の図形作品及び模型作品
(八)コンピュータソフトウェア
(九)法律、行政法規規定その他作品
第4条
法により出版及び伝播が禁止される作品は、本法による保護を受けない。
著作権者は、著作権を行使する場合、憲法及び法律に違反してはならず、公共利益を損なってはならない。
第5条
本法は、次の各号に掲げるものに適用されない。
(一)法律、法規及び国家機関の決議、決定、命令、その他立法、行政、司法的性質を有する文書及びその政府公式な訳文
(二)ニュース記事
(三)暦法、汎用的数表、汎用的表及び公式
第6条
民間文学芸術作品の著作権の保護方法は、国務院が別途規定する。
第7条
国務院著作権行政管理部門は、全国の著作権管理業務を主管する。各省、自治区、管轄市人民政府の著作権行政管理部門は、本行政区域内の著作権管理業務を主管する。
第8条
著作権者及び著作権に関連する権利者は、著作権管理団体に授権して著作権又は著作権の関連権利を行使させることができる。著作権管理団体は授権された後、自己の名義にて著作権者と著作権の関連権利者のために権利を主張することができ、なお当事者として著作権に係わり、又は著作権に関連する権利の訴訟、仲裁活動に関与することができる。
著作権集団管理団体は、非営利的組織であり、その設立形式、権利義務、著作権の使用許諾料の受領と分配及びそれに対する監督と管理などは、国務院が別途規定する。
第二章 著作権
第1節 著作権者及びその権利
第9条
著作権者には、次に掲げる者が含まれる。
(一)著作者
(二)本法により著作権を享有する公民、法人又はその他組織
第10条 作権には、次に掲げる人格権と財産権が含まれる。
(一)公表権、即ち作品を公表するか否かを決定する権利
(二)署名権、即ち著作者の身分を表明し、作品上に署名する権利
(三)改変権、即ち作品を改変する、又は他人に授権して作品を改変させる権利
(四)作品完全性保持権、即ち作品が歪曲又は改纂されないよう保護する権利
(五)複製権、即ち印刷、コピー、拓本、録音、録画、ダビング、デュープなどの方式により、作品を1部又は数部製作する権利
(六)発行権、即ち売却又は贈与の方式で、公衆に対し作品の原本又は複製品を提供する権利
(七)貸与権、即ち有償にて他人が映画作品及び映画の製作に類似する方法により創作された作品及びコンピュータソフトウェアを一時的に使用することを許諾する権利、貸出を主目的としないコンピュータソフトウェアを除く
(八)展示権、即ち美術作品、撮影作品の原本又は複製品を公開的に陳列する権利
(九)実演権、即ち作品を公開的に実演し、並びに各手段を用いて作品の実演を公開的に放送する権利
(十)放映権、即ち映写機、スライドなど技術設備により、美術、撮影、映画及び映画の製作に類似する方法により創作された作品などを公開的に再現する権利
(十一)放送権、即ち無線方式により作品を公開的に放送若しくは伝播し、又は有線放送若しくは伝播の方式により公衆に伝播放送する作品、並びに拡声器又はその他信号、音声、画像を伝送する類似手段を利用して、公衆に対し作品を伝達放送する権利
(十二)情報ネットワーク伝播権、即ち有線又は無線方式により公衆に対し作品を提供して、公衆が自ら選定した時間と場所にて作品を入手できる権利
(十三)撮影製作権、即ち映画の製作又は映画の製作に類似する方法により、作品を媒体上に固定させる権利
(十四)翻案権、即ち作品を改変し、独創性を有する新たな作品を作り出す権利
(十五)翻訳権、即ち作品につき、ある言語から他の言語に変換する権利
(十六)編集権、即ち作品又は作品の一部分を選択又は編集し、新たな作品として編集する権利
(十七)著作権者が享有すべきその他権利
著作権者は、前項第(五)号乃至第(十七)号規定の権利行使を他人に許諾し、且つ約定又は本法の関連規定により報酬を取得することができる。
著作権者は、本条第一項第(五)号乃至第(十七)号規定の権利の全部又は一部を譲渡し、且つ約定又は本法の関連規定により報酬を取得することができる。
第2節 著作権の帰属
第11条
著作権は、著作者に帰属する。本法に別段規定がある場合を除く。
作品を創作した公民は、著作者となる。
法人又はその他組織が主管し、法人又はその他組織の意思を代表して創作し、且つ法人又はその他組織が責任を負う作品について、法人又はその他組織が著作者であるものと見なす。
反証がない限り、作品上に署名した公民、法人その他組織が著作者となる。
第12条
既存の作品を翻案、翻訳、注釈、整理することにより生じた作品の著作権は、その翻案、翻訳、注釈、整理をした者が享有する。但し、著作権を行使するにあたっては、原作品の著作権を侵害してはならない。
第13条
二人以上の者が共同で創作した作品の著作権は、共同著作者が享有される。創作に参加しない者は、共同著作者とはなりえない。
分割して使用できる共同作品については、著作者は各自の創作部分に対して単独に著作権を享有することができる。但し、著作権を行使する場合、共同作品全体の著作権を侵害してはならない。
第14条
若干の作品、作品の一部又は作品を構成されないデータ又はその他資料を編集し、その内容を選択又は改編して独創性を体現している作品は、編集作品となり、その著作権は編集者が享有する。但し、著作権を行使する場合、原作品の著作権を侵害してはならない。
第15条
映画作品及び映画の製作に類似する方法により創作された作品の著作権は、映画の製作者が享有する。但し、脚本家、監督、撮影者、作詞家、作曲家などの著作者は、署名権を享有し、且つ映画製作者と締結した契約により報酬を取得する権利を有する。
映画作品及び映画の製作に類似する方法により創作された作品中の脚本、音楽などの単独で使用できる作品の著作者は、その著作権を単独で行使する権利を有する。
第16条
公民が法人又はその他組織業務上の任務を遂行するために創作した作品は、職務著作であり、本条第二項の規定を除き、その著作権は著作者が享有する。但し、法人又はその他組織はその業務範囲内で優先的に使用する権利を有する。作品完成後の2年以内に所属団体の同意を得ずに、著作者は第三者に対し、所属団体が使用することと同様な方式で当該作品を使用することを許諾してはならない。
次に掲げる形態のいずれか一つに該当する職務作品について、著作者は、署名権を享有する。著作権その他権利は、法人又はその他組織が享有するものとし、法人又はその他組織は、著作者に奨励を与えることができる。
(一)主として法人又はその他組織の物質的な技術条件を利用して創作し、且つ法人又はその他組織が責任を負う工事設計図、製品設計図、地図、コンピュータソフトウェアなどの職務作品
(二)法律、行政法規の規定又は契約の約定により、法人又はその他組織が著作権を享有する職務作品
第17条
委託を受けて創作された作品著作権の帰属は、委託者及び受託者が契約により約定する。契約に明確な約定がなく、又は契約を締結していない場合、著作権は受託者に帰属する。
第18条
美術など作品のオリジナル作品所有権の移転は、作品著作権の移転とは見なさない。但し、美術作品のオリジナル作品の展示権は、オリジナル作品の所有者が享有する。
第19条
著作権は、公民に帰属する場合、当該公民が死亡した後、本法第10条第一項第(五)号乃至第(十七)号に定めるその権利が本法規定の保護期間内である場合、相続法の規定により移転される。
著作権は、法人又はその他組織に帰属する場合、当該法人又はその他組織が変更又は終了された後、本法第10条第一項第(五)号乃至第(十七)号に定めるその権利が本法規定の保護期間内である場合、その権利義務を引き受ける法人又はその他組織が享有するものとし、その権利義務を引き受ける法人又はその他組織がない場合、国が享有する。
第3節 権利の保護期間
第20条
著作者の署名権、改変権、及び同一性保持権の保護期間は、制限を受けない。
第21条
公民の作品で、その公表権及び本法第10条第一項第(五)号乃至第(十七)号に定めるその権利の保護期間は、著作者の生涯及びその死亡後の50年間とし、著作者が死亡した日から起算して50年を経過した年の12月31日までとする。共同作品である場合、最後死亡した著作者が死亡した日から起算して50年を経過した年の12月31日までとする。
法人又はその他組織の作品、及び著作権(署名権を除く)を法人又はその他組織が享有する職務作品で、その公表権及び本法第10条第一項第(五)号乃至第(十七)号に定めるその権利の保護期間は、50年間とし、作品が最初に公表された日から起算して50年を経過した年の12月31日までとする。但し、作品は、創作が完成された後の50年間以内に公表されなかった場合、本法による保護を受けない。
映画作品及び映画の製作に類似する方法により創作された作品と撮影作品で、その公表権及び本法第10条第一項第(五)号乃至第(十七)号に定めるその権利の保護期間は、50年間とし、作品が最初に公表された日から起算して50年を経過した年の12月31日までとする。但し、作品は、創作が完成された後の50年以内に公表されなかった場合、本法による保護を受けない。
第4節 権利の制限
第22条
次の各号に掲げる状況において著作権を利用する場合、著作権者の許諾を必要とせず、著作権者に報酬を支払わないことができる。但し、著作者の氏名、作品名称を明示しなければならず、かつ著作権者が本法により享有するその他権利を侵害してはならない。
(一)個人的な学習、研究又は鑑賞のために、他人により既に公表された作品を使用する場合
(二)ある作品を紹介及び評論し、又はある問題を説明するため、作品中に他人により既に公表された作品を適当に引用する場合
(三)ニュースを報道するため、新聞、定期刊行物、ラジオ放送局、テレビ放送局などのメディアにて既に公表された作品を、やむを得ずに再現又は引用する場合
(四)新聞、定期刊行物、ラジオ放送局、テレビ放送局などのメディアが、その他新聞、定期刊行物、ラジオ放送局、テレビ放送局などのメディアにより既に公表された政治、経済、宗教問題に関するニュース的文章を登載又は放送する場合。但し、著作者が登載及び放送を許諾しない旨を表明した場合、この限りではない。
(五)新聞、定期刊行物、ラジオ放送局、テレビ放送局などのメディアが、公衆集会において公表された演説を登載又は放送する場合。但し、著作者が登載又は放送を許諾しない旨を表明した場合、この限りではない。
(六)学校教室における教学又は科学研究のため、既に公表された作品を翻訳し、又は少量に複製して、教学又は科学研究者の使用に供する場合。但し、それを出版又は発行してはならない。
(七)国家機関が公務執行のため、既に公表された作品を合理的な範囲内において使用する場合
(八)図書館、公文書館、記念館、博物館、美術館等が、陳列又は版本を保存するため、当該館が収蔵する作品を複製する場合
(九)既に公表された作品を無償で実演する場合、当該実演につき、公衆から費用を徴収せず、実演者にも報酬を支払わない場合
(十)室外の公共場所に設置又は陳列されている美術作品に対し、模写、絵画、撮影又は録画する場合
(十一)中国公民、法人又はその他組織により既に公表された漢語文字により創作された作品を、少数民族の言語文字に翻訳して国内で出版及び発行する場合
(十二)既に公表された作品を点字にして出版する場合
前項の規定は、出版者、実演者、録音録画製作者、ラジオ放送局、テレビ放送局の権利に対する制限に適用される。
第23条
9年制義務教育及び国の教育計画を実施するため編纂出版される教科書には、著作者が事前に使用を許諾しない旨を表明した場合を除き、著作者の許諾を得ずに、当該教科書の中に既に公表された作品の一部又は短編文字作品、音楽作品又は一枚ものとなる美術作品、撮影作品を編集することができる。但し、規定に従って報酬を支払い、なお著作者の氏名、作品名称を明示しなければならず、なお著作権者が本法により享有するその他権利を侵害してはならない。
前項の規定は、出版者、実演者、録音録画製作者、ラジオ放送局、テレビ放送局の権利に対する制限に適用する。
第三章 著作権の使用許諾及び譲渡契約
第24条
他人の作品を使用する場合、著作権者と使用許諾契約を締結しなければならない。本法の規定により許諾を要しない場合、この限りではない。
使用許諾契約には、次の各号に掲げる主要の内容が含まれる。
(一)使用を許諾する権利の種類
(二)使用を許諾する権利が専有使用権又は非専有使用権である。
(三)使用を許諾する地域的範囲、期間
(四)報酬支払の基準及び方法
(五)違約責任
(六)当事者双方が約定を要すると認めるその他内容
第25条
本法第10条第一項第(五)号乃至第(十七)号に定める権利を譲渡する場合、書面による契約を締結しなければならない。
譲渡契約には、次の各号に掲げる主要の内容が含まれる。
(一)作品の名称
(二)譲渡権利の種類、地域的範囲
(三)譲渡対価
(四)譲渡対価の支払日及び方式
(五)違約責任
(六)当事者双方が約定を要すると認めるその他内容
第26条
使用許諾契約及び譲渡契約において、著作権者が許諾又は譲渡を明確にしていない権利は、著作権者の同意を得ずに、他の当事者はこれを行使してはならない。
第27条
作品使用の報酬の支払基準は、当事者が約定することができ、また国務院著作権行政管理部門が関係部門と共同で制定した報酬支払基準に従って報酬を支払うこともできる。当事者の約定が不明確である場合、国務院著作権行政管理部門が関係部門と共同で制定した報酬支払基準に従って報酬を支払う。
第28条
出版者、実演者、録音録画製作者、ラジオ放送局、テレビ放送局などは、本法の関係規定により、他人の作品を使用する場合、著作者の署名権、改変権、同一性保持権及び報酬請求権を侵害してはならない。
第四章 出版、実演、録音録画、放送
第1節 図書、新聞、刊行物の出版
第29条
図書出版者は、図書を出版する場合、著作権者と出版契約を締結し、且つ報酬を支払わなければならない。
第30条
図書出版者が著作権者より出版のため交付された作品に対し、契約の約定に従って享有する専有出版権は、法律による保護を受け、その他の者は、当該作品を出版してはならない。
第31条
著作権者は契約約定の期限通りに作品を交付しなければならない。図書出版者は契約約定の出版品質、期限に従って、図書を出版しなければならない。
図書出版者は、契約約定の期限通りに出版しない場合、本法第53条の規定により、民事責任を負わなければならない。
図書出版者は、作品を増刷又は再版する場合、著作権者に通知し、且つ報酬を支払わなければならない。図書を売り切れた後、図書出版者が増刷又は再版を拒否した場合、著作権者は当該契約を終了させる権利を有する。
第32条
著作権者は、新聞出版社、定期刊行物出版社に投稿する際に、原稿発送日から15日以内に新聞出版社の掲載決定通知を受領しなかった場合、又は原稿発送日から30日以内に定期刊行物出版社の掲載決定通知を受領しなかった場合、同一の作品を他の新聞出版社、定期刊行物出版社に投稿することができる。但し、当事者双方に別段約定のある場合を除く。
作品掲載後、著作権者が転載又は抜粋編集をしてはならない旨を表明した場合を除き、その他新聞出版、定期刊行物出版は、これを転載し、又はダイジェスト、若しくは資料として掲載することができる。但し、規定に従って、著作権者に報酬を支払わなければならない。
第33条
図書出版者は、著作権者の許諾を経て、作品につき、改変又は要約することができる。
新聞出版社、定期刊行物出版社は、作品につき、文字上の改変及び要約を行うことができる。内容の改変について、著作権者の許諾を得なければならない。
第34条
既存の作品を翻案、翻訳、注釈、整理、編集することにより、生じた作品を出版する場合、作品を翻案、翻訳、注釈、整理、編集した著作権者及びオリジナル作品の著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
第35条
出版者は、他人がその出版した図書、定期刊行物の版面レイアウトを使用することを許諾し、又は禁止する権利を有する。
前項に定める権利の保護期間は10年間とし、当該レイアウトを使用する図書、定期刊行物が最初に出版された日から起算して10年を経過した年の12月31日までとする。
第2節 実演
第36条
他人の作品を利用して実演する場合、実演者(役者、演出団体)は、著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。演出手配者が演出を手配する場合、当該手配者が著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
既存の作品を翻案、翻訳、注釈、整理することにより生じた作品を利用して実演を行う場合、作品を翻案、翻訳、注釈、整理した著作権者及びオリジナル作品の著作権者の許諾を得て、かつ報酬を支払わなければならない。
第37条
実演者は、その実演につき、次の各号に掲げる権利を享有する。
(一).実演者の身分を表明する権利
(二)実演イメージが歪曲されないよう保護する権利
(三)他人が現場から生放送及びその現場での実演を公開中継することを許諾し、且つ報酬を取得する権利
(四)他人が録音録画することを許諾し、かつ報酬を取得する権利
(五)他人がその実演を収録された録音録画製品を複製及び発行することを許諾し、且つ報酬を取得する権利
(六)他人が情報ネットワークを通じてその実演を公衆に伝播することを許諾し、且つ報酬を取得する権利
被許諾者は、前項第(三)乃至第(六)号に定める方式で作品を使用する場合、著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
第38条
本法第三十七条第一項第(一)、第(二)号に定める権利の保護期間は、制限を受けない。
本法第37条第一項第(三)乃至第(六)号に定める権利の保護期間は、50年間とし、当該実演が発生した日から起算して50年を経過した年の12月31日までとする。
第3節 録音録画
第39条
録音録画製作者は、他人の作品を利用して録音録画製品を製作する場合、著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
録音録画製作者は、既存の作品を翻案、翻訳、注釈、整理することにより生じた作品を利用する場合、作品を翻案、翻訳、注釈、整理した著作権者及びオリジナル作品の著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
録音製作者は、他人が録音製品として合法的に収録した音楽作品を使用して録音製品を製作する場合、著作権者の許諾を得ることを要しない。但し、規定に従って報酬を支払わなければならない。著作者が使用を許諾しない旨を表明した場合、これを使用してはならない。
第40条
録音録画製作者は、録音録画製品を製作する場合、実演者と契約を締結して、且つ報酬を支払わなければならない。
第41条
録音録画製作者は、その製作した録音録画製品に対して、他人に複製、発行、貸与、情報ネットワークを通じる公衆への伝播を許諾し、且つ報酬を取得する権利を享有する。当該権利の保護期間は50年とし、当該製品が最初に製作を完成した日から起算して50年を経過した年の12月31日までとする。
被許諾者は、録音録画製品を複製、発行、情報ネットワークを通じる公衆への伝播を行う場合、著作権者及び実演者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
第4節 ラジオ放送局、テレビ放送局の放送
第42条
ラジオ放送局、テレビ放送局は、他人が公表していない作品を放送する場合、著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
ラジオ放送局、テレビ放送局は、他人が公表した作品を放送する場合、著作権者の許諾を得ることを要しない。但し、報酬を支払わなければならない。
第43条
ラジオ放送局、テレビ放送局は、出版済みの録音製品を放送する場合、著作権者の許諾を得ることを要しない。但し、報酬を支払わなければならない。当事者間に特段の定めがある場合、この限りではない。その具体的な方法は、国務院が定める。
第44条
ラジオ放送局、テレビ放送局は、次の各号に掲げる許諾されない行為を禁止する権利を有する。
(一)その放送するラジオ、テレビ番組を中継放送すること
(二)その放送するラジオ、テレビ番組を音楽、映像の媒体上に収録する、及び当該収録媒体を複製すること
前項に定める権利の保護期間は50年とし、当該ラジオ、テレビ番組が最初に放送された日から起算して50年を経過した年の12月31日までとする。
第45条
テレビ放送局は、他人の映画作品及び映画の製作に類似する方法により創作された作品、録画作品を放送する場合、映画製作者又は録画製作者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。他人の録画作品を放送する場合、著作権者の許諾を得て、且つ報酬を支払わなければならない。
第五章 法律責任及び執行措置
第46条
次の各号に掲げる権利侵害行為がある場合、情状に応じて侵害停止、影響除去、謝罪、損害賠償などの民事責任を負わなければならない。
(一)著作権者の許諾を得ずに、その作品を公表した場合
(二)共同著作者の許諾を得ずに、他人と共同で創作した作品を自ら単独で創作した作品として公表した場合
(三)創作に参加せずに、個人の名誉と利益のために、他人の作品上に氏名を表示した場合
(四)他人の作品を歪曲、改ざんした場合
(五)他人の作品を盗用した場合
(六)著作権者の許諾を得ずに、展示、映画製作及び映画製作に類似する方法により作品を使用し、又は翻案、翻訳、注釈などの方式で作品を使用した場合。但し、本法に別途規定がある場合、この限りではない。
(七)他人の作品を使用して、報酬を支払うべきなのに、支払わなかった場合
(八)映画作品及び映画製作に類似する方法により創作された作品、コンピュータソフトウェア、録音録画製品の著作権者又は著作権の関連権利者の許諾を得ずに、その作品又は録音録画製品を貸与した場合。但し、本法に別途規定がある場合、この限りではない。
(九)出版者の許諾を得ずに、その出版された図書、定期刊行物のレイアウトを使用した場合
(十)実演者の許諾を得ずに、現場からその実演を生放送し、若しくは公開中継した場合、又はその実演を収録した場合
(十一)著作権及び著作の関連権利を侵害するその他行為
第47条
次の各号に掲げる権利侵害行為がある場合、情状に応じて侵害停止、影響除去、謝罪、損害賠償等の民事責任を負わなければならない。同時に公共利益を損なう場合、著作権行政管理部門が権利侵害行為の停止を命じ、違法所得を没収し、権利侵害に係る複製品を没収及び破棄し、且つ罰金に処することができる。情状が重大である場合、著作権行政管理部門は、更に主として権利侵害に係る複製品の製作に用いる材料、工具、設備などを没収することもできる。犯罪を構成した場合、法により刑事責任を追及する。
(一)著作権者の許諾を得ずに、その作品を複製、発行、実演、放映、放送、編集し、又は情報ネットワークを通じて公衆に伝播した場合。但し、本法に別途規定がある場合、この限りではない。
(二)他人が専用出版権を享有する図書を出版した場合
(三)実演者の許諾を得ずに、その実演が収録された録音録画製品を複製、発行し、又は情報ネットワークを通じて公衆に伝播した場合。但し、本法に別途規定がある場合、この限りではない。
(四)録音録画製作者の許諾を得ずに、その製作録音録画製品を複製、発行し、又は情報ネットワークを通じて公衆に伝播した場合。但し、本法に別途規定がある場合、この限りではない。
(五)許諾を得ずに、ラジオ、テレビ番組を放送又は複製した場合。但し、本法に別途規定がある場合、この限りではない。
(六)著作権者又は著作隣接権者の許諾を得ずに、権利者がその作品や録音録画製品などに採用している著作権又は著作隣接権を保護するための技術的措置を故意に回避又は破壊した場合。但し、法律、行政法規に別途規定がある場合、この限りではない。
(七)著作権者又は著作隣接権者の許諾を得ずに、作品や録音録画製品などの権利を管理するための電子情報を故意に削除又は改変した場合。但し、法律、行政法規に別途規定がある場合、この限りではない。
(八)他人の氏名表示を詐称する作品を制作及び販売した場合
第48条
著作権又は著作隣接権を侵害する場合、権利侵害者は権利者の実際損失に応じて損害を賠償しなければならない。実際損失を計算し難い場合、権利侵害者の違法所得により損害を賠償することができる。賠償金額には、権利者が権利侵害行為を制止するために支払った合理的費用を含まなければならない。
権利者の実際損失又は権利侵害者の違法所得を確定できない場合、裁判所が侵害行為の情状に応じて50万元以下の損害賠償判決を下す。
第49条
著作権者又は著作隣接権者は、他人がその権利侵害行為を現に行っている、又はまさに行おうとしていることを立証できる証拠を有しており、これを直ちに制止しなければ、その合法的権益を補填しがたい損害を被るおそれがある場合は、訴えを提起する前に人民法院に関係行為の停止と財産の保全措置命令を採るよう請求することができる。
裁判所は、前項の請求を処理する場合、「中華人民共和国民事訴訟法」第93条ないし第96条及び第99条の規定を適用する。
第50条
侵害行為を制止するため、証拠が滅失する恐れがあり、又はその後入手し難い場合、著作権者又は著作隣接権者は、起訴前に裁判所に対し証拠保全を請求することができる。
裁判所は、請求受理後に48時間以内に裁定を下さなければならない。保全措置の採用を裁定する場合、直ちにこれを執行しなければならない。
裁判所は、申請人に担保の提供を命じることができ、申請人が担保を提供しない場合、その請求を却下する。
裁判所が保全措置をとった後15日以内に申請人が訴訟を提起しない場合、裁判所は、保全措置を解除しなければならない。
第51条
裁判所は、案件を審理する場合、著作権又は著作隣接権に係る侵害に対し、違法所得、権利侵害複製品及び違法活動に用いた財物を没収することができる。
第52条
複製品の出版者及び製作者はその出版、製作につき合法的に授権されたことを証明できない場合、また複製品の発行者又は映画作品、若しくは映画の製作に類似する方法により創作された作品、コンピュータソフトウェア、録音録画製品の複製品の貸与者はその発行、貸与の複製品につき合法的な入手ルートを証明できない場合、法的責任を負わなければならない。
第53条
当事者は、契約義務を履行しない、又は契約義務の履行が約定条件に適合しない場合、「中華人民共和国民法通則」、「中華人民共和国契約法」など関連法律の規定に従って、民事責任を負わなければならない。
第54条
著作権紛争については、調停を行うことができ、当事者間締結の仲裁協議書又は著作権契約中の仲裁条項に基づき、仲裁機構に対し仲裁を申し立てることもできる。
当事者は、仲裁協議書を締結しておらず、著作権契約中に仲裁条項も定めていない場合、裁判所に対し訴訟を直接に提起することができる。
第55条
当事者は、行政処罰に不服がある場合、行政処罰決定書を受領した日より3ヶ月以内に裁判所に対し訴訟を提起することができる。期間が満了して訴訟を提起せず、なお履行しない場合、著作権行政管理部門は、裁判所に対し執行を請求することができる。
第六章 附 則
第56条
本法にいう著作権とは、即ち版権である。
第57条
本法第2条にいう出版とは、作品の複製、発行を指す。
第58条
コンピュータソフトウェア、情報ネットワーク伝播権の保護方法は、国務院が別途規定する。
第59条
本法に規定される著作権者と出版者、実演者、録音録画製作者、ラジオ放送局、テレビ放送局の権利は、本法施行日になお本法規定の保護期間を超えていない場合、本法による保護を受ける。
本法施行前に発生した権利侵害又は契約違反行為は、権利侵害又は契約違反行為が発生した際の関連規定及び政策により処理される。
第60条
本法は、1991年6月1日より施行する。