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中華人民共和国不正競争防止法

第1条
社会主義市場経済の健全な発展を保障し、公平な競争を激励、保護し、不正競争行為を制止し、経営者と消費者の合法的な権益を保護するため、本法を制定する。
第2条
経営者は市場取引で、自由意思、平等、公平、誠実信用の原則に従い、一般に認められる商業道徳を順守しなければならない。
第3条
本法で「不正競争」とは、経営者が本法の規定に違反し、他の経営者の合法的な権益に損害を与え、社会経済秩序を攪乱する行為を言う。
本法で「経営者」とは、商品の経営又は営利的なサービス(以下「商品」というときはサービスを含む)に従事する法人、その他経済組織及び個人のことを言う。
各級の政府は関連措置を講じ、不正競争行為を制止して、公平競争に良好な環境を作らなければならない。
県級以上の政府の工商行政管理部門は不正競争行為に監督•検査を行う。但し、法律、行政法規でその他部門が監督•検査を行うと規定した場合、その規定に従う。
第4条
国は、すべての組織及び個人が不正競争行為に対する監督を激励、支持し、保護する。
国家機関の職員は、不正競争行為を支持したり、曲庇したりしてはならない。
第5条
経営者は、次の不正な手段を用いて市場取引をし、競争相手に損害を与えてはならない。
(一)他人の登録商標を偽ること、
(二)著名商品に特有の名称、包装、デザインを無断使用し、又は著名商品に類似する名称、包装、デザインを使用し、他人の著名商品と混同を生じさせ、購買者に当該著名商品であると誤認させること、
(三)他人の企業名称又は氏名を無断で使用し、他人の商品であると誤認させること、
(四)商品において、認証マーク、優良マーク等の品質マークを偽造又は盗用し、産地表示を偽造し、商品の品質について他人に誤解を招く虚偽の表示をすること。
第6条
公用企業又は法に従って独占的地位を有するその他経営者は、他人に対して、自らの指定する経営者の商品を購入するように限定することにより、その他経営者の公平な競争を排除してはならない。
第7条
政府及びその所属部門は行政権力を濫用し、他人に対して、自らの指定する経営者の商品を購入するように限定して、その他の経営者の正当な経営活動を制限してはならない。
政府及びその所属部門は行政権力を濫用し、当該行政区域外の商品が当該行政区域の市場への流入を制限し、又は当該行政区域の商品が当該行政区域外への流出を制限してはならない。
第8条
経営者は商品を販売・購入するため、財物又はその他の手段で賄賂を行ってはならない。相手方の単位又は個人に密かにリベートを渡した場合、贈賄として処罰する。相手方の単位又は個人が密かにリベートを受け取った場合、収賄として処罰する。
経営者が商品を販売し、又は購入する際、明示の方式で相手方に割引を与えることができ、仲買人に手数料を与えることができる。経営者が相手方に割引、仲買 人に手数料を与える場合、事実とおり記帳しなければならない。割引、手数料を受け取る経営者は事実とおり記帳しなければならない。
第9条
経営者は、広告又はその他の方法を利用して、商品の品質、構成成分、性能、用途、生産者、有効期限、産地等について誤解を招く虚偽の宣伝をしてはならない。
広告の経営者は、虚偽の広告であることを明らかに知り又は知り得ながら、虚偽の広告を代理、設計、制作、発表してはならない。
第10条
経営者は、次の手段を用いて商業秘密を侵害してはならない。
(一)窃取、利益による誘引、脅迫又はその他の不正の手段によって権利者の商業秘密を取得すること、
(二)前号の手段によって取得した権利者の商業秘密を開示、使用し、又は他人に使用を許可すること、
(三)約束に違反し、又は権利者の関連する商業秘密守秘の要求に違反し、取得した商業秘密を開示、使用し、又は他人に使用を許可すること。
第三者が、前項に掲げる違法行為を明らかに知り又は知り得ながら、他人の商業秘密を取得、使用し、又は開示することは、商業秘密を侵害するものとみなす。
この条に商業秘密とは、公衆に知られておらず、権利者に経済利益をもたらすことができ、実用性を有し、かつ、権利者により秘密保持措置が講じられた技術情報及び経営情報をいう。
第11条
経営者は、競争相手を排除することを目的に、原価より低い価格で商品を販売してはならない。
次に掲げる場合は、不正競争行為に属しない。
(一)新鮮なまま又は生きたまま売られる商品を販売した場合、
(二)有効期限間近の商品又はその他の売れ残りの商品を処分した場合、
(三)季節的な値下げをした場合、
(四)債務清算、経営製品変更、廃業のため商品を値下げて販売した場合。
第12条
経営者は商品を販売するとき、購買者の意思に反して商品の抱合せ販売をし、又はその他の不合理な条件をつけてはならない。
第13条
経営者は、次に掲げる景品付販売をしてはならない。
(一)景品ありと偽り、又は故意に内定者に賞を当てさせる詐欺の方式で景品付販売を行うこと、
(二)景品付販売の手段を利用して低質高価の商品を売り捌くこと、
(三)くじ引き式の景品類付販売は、最高懸賞金額が五千元を超えること。
第14条
経営者は、虚偽の事実を捏造し、又は散布することにより、競争相手の商業上の信用又は商品の評判に損害を与えてはならない。
第15条
入札者は、談合して入札をすることにより、入札額を引き上げ、又は入札額を低く抑えてはならない。
入札者と入札募集者は結託し、競争相手の公平な競争を排除してはならない。
第16条
県級以上の監督検査部門は、不正競争行為に対して監督検査を行うことができる。
第17条
監督検査部門は、不正競争行為の監督検査を行う際に、次に掲げる職権を行使する権利を有する。
(一)規定の手続に従って検査を受ける経営者、利害関係者及び証人を尋問し、かつ、証明資料又は不正競争行為に関連するその他資料を提供させること、
(二)不正競争行為に関連する協議、帳簿、証票、書類、記録、業務上の書簡及び電報並びにその他の資料を調べ、複製すること、
(三)本法第五条に規定する不正競争行為に関連する財物を検査し、必要なとき、検査を受ける経営者に、当該商品の出所及び数量を説明し、販売を一時停止し、検査を待ち、当該財物の移転、隠匿及び廃棄をしてはならないことを命ずること。
第18条
監督検査部門の職員は、不正競争行為の監督検査を行う際に、検査証書を提示しなければならない。
第19条
監督検査部門が不正競争行為の監督検査を行う際は、検査を受ける経営者、利害関係者及び証人は、事実のとおりに関連する資料又は情報を提供しなければならない。
第20条
経営者は、本法規定に違反し、被害された経営者に損害を与えた場合、損害賠償の責任を負わなければならない。被害を受けた経営者が受けた損害が計算し難い 場合、損害額は、侵害者が侵害期間において侵害によって得た利益とし、侵害者は、被害を受けた経営者は合法的な権益が侵害される不正競争行為を調査するた めに支払った合理的な費用も負担しなければならない。
被害を受けた経営者は合法的な権益が不正競争行為によって損害を受けた場合、裁判所に訴えを提起することができる。
第21条
経営者が他人の登録商標を虚偽表示し、他人の企業名称又は氏名を無断で使用し、認証マーク、知名・優良マーク等の品質マークを偽造若しくは盗用し、産地表 示を偽造し、又は商品の品質について誤解を招く虚偽の表示をした場合、「中華人民共和国商標法」及び「中華人民共和国製品品質法」の規定に基づいて処罰す る。
経営者が著名商品に特有の名称、包装、デザインを無断で使用し、又は著名商品に類似する名称、包装、デザインを使用して他人の著名商品と混同を生じさせ、 購買者に当該著名商品であると誤認させた場合、監督検査部門は、違法行為を停止するよう命じ、違法所得を没収しなければならず、情状に応じて、違法所得の 1倍以上3倍以下の罰金に処することができる。情状が重大の場合、営業許可証を取り上げることができる。粗悪品、偽造品を販売して、犯罪を構成した場合、 法に従って刑事責任を追及する。
第22条
経営者が財物或いはその他手段を以って賄賂を行うことにより商品を販売・購入し、犯罪を構成した場合、法によって刑事責任を追及する。犯罪を構成しない場 合、監督検査部門は情状に応じて、1万元以上20万元以下の罰金に処することができ、違法所得がある場合、これを没収する。
第23条
公用企業又は法に従って独占的地位を有するその他経営者が、他人に対して、自らの指定する経営者の商品を購入するように限定することにより、その他の経営 者の公平な競争を排除した場合、省級又は区を設けている市の監督検査部門は、違法行為を停止するよう命じなければならず、情状に応じて、5万元以上20万 元以下の罰金に処することができる。指定された経営者がこれに乗じて低質高価の商品を販売し、又は費用を濫りに受け取った場合、監督検査部門は、違法所得 を没収しなければならず、情状に応じて、違法所得の1倍以上3倍以下の罰金に処することができる。
第24条
経営者が広告又はその他の方法を利用して、商品について誤解を招く虚偽の宣伝をした場合、監督検査部門は違法行為を停止し、影響を除去するよう命じなければならず、情状に応じて、1万元以上20万元以下の罰金に処することができる。
広告の経営者が、虚偽の広告であることを明らかに知り又は知り得ながら、虚偽の広告を代理、設計、制作し、又は公表した場合、監督検査部門は違法行為の停止を命じ、違法所得を没収し、法に従って罰金に処さなければならない。
第25条
本法第10条の規定に違反し商業秘密を侵害した場合、監督検査部門は違法行為を停止するよう命じなければならず、情状に応じて1万元以上20万元以下の罰金に処することができる。
第26条 経営者が本法第13条の規定に違反し景品付販売を行った場合、監督検査部門は違法行為を停止するよう命じなければならず、情状に応じて1万元以上10万元以下の罰金に処することができる。
第27条
入札者が談合して入札をすることにより、入札額を引き上げ、又は入札額を低く抑え、入札者及び入札募集者が互いに談合することにより、競争相手の公平な競 争を排除した場合、その落札は無効とする。監督検査部門は、情状に応じて1万元以上20万元以下の罰金に処することができる。
第28条
経営者が受けた販売停止又は不正競争行為に係わる財物の移転、隠匿若しくは廃棄の行為に対する禁止命令に違反した場合、監督検査部門は情状に応じて、販売され、移転され、隠匿され、廃棄された財物の対価の1倍以上3倍以下の罰金に処することができる。
第29条
当事者は、監督検査部門が下した処罰決定に不服がある場合、処罰決定を受け取った日から15日以内に、上級の主管機関に復議を請求することができる。復議 決定に不服がある場合、復議決定書を受け取った日から15日以内に、裁判所に訴えを提起することができる。当事者は、直接裁判所に訴えを提起することもで きる。
第30条
政府及びその所属部門が本法第7条の規定に違反し、他人に対して自らの指定する経営者の商品を購入するように限定し、その他経営者の正当な経営活動を制限 し、又は商品の地域間での正常な流通を制限した場合、上級機関が是正を命ずる。情状が重大の場合、同級又は上級の機関は直接責任者に行政処分を与える。指 定された経営者がこれに乗じて低質高価の商品を販売し、又は費用を濫りに受け取ったときは、監督検査部門は違法所得を没収しなければならず、情状に応じて 違法所得の1倍以上3倍以下の罰金に処することができる。
第31条
不正競争行為の監督検査をする国家機関の職員が職権を濫用し、又は職務怠慢して、犯罪を構成した場合、法に従って刑事責任を追及する。犯罪を構成しない場合、行政処分を与える。
第32条
不正競争行為の監督検査をする国家機関の職員が私利のために不正を働き、本法規定に違反し犯罪を構成していることを明らかに知りながら経営者を起訴されないように故意に曲庇した場合、法に従って刑事責任を追及する。
第33条
本法は、1993年12月1日から施行する。